メジャーリーグ(MLB)を観戦していると、毎年秋に開催される「ワールドシリーズ」の盛り上がりに胸が躍ります。
世界一の称号を手にするために繰り広げられる激闘は、野球ファンにとって最大の楽しみの一つです。
しかし、長い歴史を持つリーグの中でも、実はまだワールドシリーズ優勝してないチームがいくつか存在することをご存知でしょうか。
特に2024年と2025年は、ロサンゼルス・ドジャースが圧倒的な強さで連覇を果たし、日本の野球ファンの間でも大きな話題となりました。
一方で、古豪と呼ばれるチームや実力派の球団が、あと一歩のところで栄冠を逃し続けているドラマもMLBの魅力です。
今回の記事では、2026年現在の視点で、悲願の初制覇を目指すチームたちの現状をわかりやすく解説します。
かつてはテキサス・レンジャーズも「未制覇」の常連でしたが、2023年に見事その壁を突破しました。
現在残っている5球団には、それぞれどのような歴史があり、なぜ優勝から遠ざかっているのでしょうか。
これからメジャーリーグを深く知りたいという方に向けて、観戦がもっと楽しくなる情報をお届けします。
1. ワールドシリーズ優勝してない球団はいくつある?全30チームの最新状況

メジャーリーグには現在、アメリカとカナダを拠点とする合計30の球団が加盟しています。
その中で、栄えあるワールドシリーズのタイトルを一度も獲得したことがないチームは、2026年開幕時点で「5チーム」となっています。
長い年月を経て、多くの球団が一度は王座に就いていますが、まだ一部のチームにとっては「見果てぬ夢」の状態が続いています。
現在のメジャーリーグにおける「未制覇チーム」の一覧
現在、ワールドシリーズの頂点に立ったことがないのは、シアトル・マリナーズ、サンディエゴ・パドレス、ミルウォーキー・ブルワーズ、タンパベイ・レイズ、コロラド・ロッキーズの5球団です。
これらのチームは、比較的歴史が浅い「エクスパンション(球団拡張)」によって誕生した球団が多いのが特徴となっています。
メジャーリーグの歴史は19世紀にまで遡りますが、今回挙げた5チームはいずれも1960年代後半以降に誕生した比較的新しい組織です。
伝統あるヤンキースやドジャースが数十回の優勝を誇る一方で、彼らはゼロからの歴史を積み上げている最中だと言えるでしょう。
それでも、リーグ優勝を果たしてワールドシリーズの舞台に立った経験を持つチームがほとんどであり、実力は決して低くありません。
2023年にリストを脱出したテキサス・レンジャーズの快挙
未制覇の歴史に終止符を打つのは、ファンにとっても球団にとっても筆舌に尽くしがたい喜びです。
直近でその感動を味わったのが、2023年のテキサス・レンジャーズでした。
彼らは球団創設63年目にして、アリゾナ・ダイヤモンドバックスを破り、ついに初めてのワールドシリーズ制覇を成し遂げたのです。
レンジャーズの優勝は、長年「勝てない」と言われてきた他の5球団にとっても大きな希望となりました。
大型補強や若手の育成が実を結び、短期決戦で爆発的な力を発揮すれば、どのチームにもチャンスがあることを証明したからです。
この優勝により、残された5球団のファンは「次は自分たちの番だ」という熱い期待を胸に、毎シーズンの観戦を楽しんでいます。
2024年・2025年のドジャース連覇がリーグ全体に与えた影響
近年のメジャーリーグを語る上で欠かせないのが、2024年と2025年に連覇を達成したロサンゼルス・ドジャースの存在です。
大谷翔平選手や山本由伸投手、そして佐々木朗希投手といった日本人スター選手たちの活躍により、ドジャースは圧倒的な資金力と戦力でリーグを支配しました。
この「最強軍団」の壁が、未制覇チームの前に立ちはだかっているのが現状です。
強豪チームがタイトルを独占する傾向が強まる中で、未制覇のチームたちは知恵を絞ったチーム編成を余儀なくされています。
少ない予算で効率的に勝つためのデータ分析や、マイナーリーグからの若手抜擢など、それぞれの球団が独自の戦略で挑んでいます。
ドジャースのような「絶対王者」に、歴史のないチームが挑んでいく構図も、現代の野球観戦における醍醐味と言えるでしょう。
ワールドシリーズ未制覇の5球団リスト(2026年時点)
・シアトル・マリナーズ(出場経験もなし)
・サンディエゴ・パドレス(出場2回)
・タンパベイ・レイズ(出場2回)
・ミルウォーキー・ブルワーズ(出場1回)
・コロラド・ロッキーズ(出場1回)
2. 唯一ワールドシリーズに一度も出場していないシアトル・マリナーズ

未制覇の5球団の中でも、さらに特別な立ち位置にいるのがシアトル・マリナーズです。
驚くべきことに、マリナーズは30球団の中で唯一、ワールドシリーズに一度も出場したことがないという記録を持っています。
「優勝してない」どころか、決勝の舞台にすら辿り着けていないという事実は、ファンにとって非常に重い歴史となっています。
出場さえ叶わない「最大の壁」と言われる理由
マリナーズがワールドシリーズに届かない理由は、所属するアメリカン・リーグ西地区の激しさにあります。
かつては圧倒的な資金力を誇ったオークランド・アスレチックス(現サクラメント等)や、近年の王者であるヒューストン・アストロズといった強豪が常に壁となってきました。
レギュラーシーズンで好成績を収めても、ポストシーズンという短期決戦の魔物に阻まれてしまうのです。
また、シアトルという土地柄、移動距離が全30球団の中でもトップクラスに長いことも選手たちの疲労蓄積に影響していると言われています。
広大なアメリカ大陸の北西の端に位置するため、遠征のたびに時差や長時間のフライトと戦わなければなりません。
こうした地理的なハンデを抱えながら、リーグの頂点を目指す戦いは想像以上に過酷なものとなっています。
伝説の2001年シーズンとイチロー選手の功績
マリナーズの歴史の中で、最もワールドシリーズに近づいたのは2001年でした。
この年、日本から移籍したばかりのイチロー選手が新人王とMVPをダブル受賞する大活躍を見せ、チームはメジャー記録に並ぶ年間116勝という驚異的な成績を収めました。
誰もが「今年こそは世界一になれる」と確信した、まさに黄金のシーズンだったのです。
しかし、ポストシーズンのリーグチャンピオンシップシリーズで、ニューヨーク・ヤンキースに敗退するという衝撃の結末を迎えました。
歴史的な強さを誇ったチームですら、ワールドシリーズの扉を開けることはできませんでした。
この時の悔しさは今も語り継がれており、マリナーズにとって2001年は「最も輝かしく、かつ最も残酷な年」として記憶されています。
2020年代のマリナーズが抱える若手スターへの期待
苦難の歴史が続くマリナーズですが、現在のチームには新しい風が吹いています。
フリオ・ロドリゲス選手を中心とした若手野手陣と、メジャー屈指の安定感を誇る先発投手陣が揃い、常にプレーオフ争いに加わっています。
かつてのイチロー選手やフェリックス・ヘルナンデス投手が支えた時代を経て、ようやく「勝てる組織」への脱皮を図っているところです。
ファンの熱気も凄まじく、本拠地のティーモバイル・パークはプレーオフが近づくと異様な盛り上がりを見せます。
「ワールドシリーズに出場する」ということが、この街にとっては優勝に匹敵するほどの大きな悲願となっているからです。
一つ一つのプレーに一喜一憂するファンの姿は、歴史がないからこそ生まれる情熱に満ち溢れています。
シアトル・マリナーズは、かつて任天堂がオーナーを務めていた時期もあり、日本との縁が非常に深い球団です。イチロー氏だけでなく、城島健司氏や岩隈久志氏、菊池雄星投手など多くの日本人選手がプレーしてきました。
3. 王座まであと一歩に迫ったサンディエゴ・パドレスとタンパベイ・レイズ

未制覇のチームの中でも、すでに複数回のワールドシリーズ進出を果たし、あと一歩で王座を逃してきたのがサンディエゴ・パドレスとタンパベイ・レイズです。
この2球団は、チームの運営方針や資金力、戦い方が実に対照的であることでも知られています。
どちらも「いつ優勝してもおかしくない」と言われ続けながら、最後に立ちはだかる厚い壁に苦しんできました。
スター軍団パドレスが直面した強豪の壁
サンディエゴ・パドレスは、近年メジャーで最も注目を集める「派手な」球団の一つです。
マニー・マチャド選手やフェルナンド・タティスJr.選手といった超大物スターと巨額契約を結び、ドジャースに対抗する「打倒・最強軍団」の急先鋒となってきました。
過去には1984年と1998年の2回、ワールドシリーズに出場していますが、いずれも当時の最強チームに力負けしています。
特に1998年は、歴史的な強さを誇ったニューヨーク・ヤンキースを相手に4連敗を喫し、涙を飲みました。
2020年代に入ってからも、ダルビッシュ有投手の獲得などで戦力を強化し、何度もポストシーズンの激闘を演じています。
潤沢な資金を投じてスターを集める手法はリスクも大きいですが、地元ファンの熱狂を呼び起こし、悲願達成への期待を最高潮に高めています。
独自の育成戦略で勝負するタンパベイ・レイズの戦い
一方で、パドレスとは正反対の「低予算・高効率」な運営で成功しているのがタンパベイ・レイズです。
フロリダ州を拠点とするこのチームは、限られた資金の中でデータ分析を極限まで活用し、他球団が注目しない選手を再生させたり、独自の若手育成システムを構築したりしています。
2008年と2020年の2度、ワールドシリーズに進出しており、その実力はメジャー全体からリスペクトされています。
特に2020年は、コロナ禍の短縮シーズンという異例の状況下で、ドジャースと接戦を繰り広げました。
惜しくも敗れはしましたが、金満球団ではないレイズが知恵と工夫でエリート球団を追い詰める姿は、多くの野球ファンに感動を与えました。
常に主力が他球団へ引き抜かれる宿命にありながら、次々と新しいスター候補が現れるレイズの底力は、未制覇チームの中でも特異な存在感を放っています。
複数回のシリーズ進出を果たした両者の共通点と軌跡
パドレスとレイズに共通しているのは、どちらも「一度も勝てていない」という事実がチームのアイデンティティの一部になっている点です。
何度も挑戦し、そのたびに跳ね返されてきた経験が、選手やファンをよりハングリーにさせています。
過去の敗北は単なる失敗ではなく、次なる頂点への重要なステップとして球団の歴史に刻まれています。
近年はどちらのチームもプレーオフの常連となっており、「ワールドシリーズ優勝してない」という肩書きが外れる日は近いと予想されています。
大型補強のパドレスか、育成と分析のレイズか。
アプローチは違えど、頂点を目指す熱意は共通しており、彼らの初優勝はメジャーリーグの勢力図を大きく塗り替える出来事になるはずです。
4. 過去に1度だけチャンスを掴んだミルウォーキー・ブルワーズとコロラド・ロッキーズ

未制覇の5球団の中には、歴史上たった一度だけワールドシリーズの舞台に立ち、そこで力尽きてしまったチームもいます。
それがミルウォーキー・ブルワーズとコロラド・ロッキーズです。
どちらも地方都市を拠点とする小規模な市場の球団でありながら、一時期の猛烈な勢いで全米を驚かせた過去を持っています。
1982年の死闘を演じたブルワーズの黄金期
ミルウォーキー・ブルワーズが唯一ワールドシリーズに進出したのは、今から40年以上前の1982年でした。
当時は「ハーベイの壁(Harvey’s Wallbangers)」と呼ばれる強力な打線を武器に、リーグを席巻していました。
この年のワールドシリーズではセントルイス・カージナルスと対戦し、第7戦までもつれ込む大激戦を展開したのです。
あと1勝で世界一というところまで迫りながら、最終戦で敗れた悔しさは、今もミルウォーキーのファンに語り継がれています。
その後は長い低迷期もありましたが、近年は優れた投手育成を軸にプレーオフの常連へと返り咲いています。
2026年現在も、堅実な守備と勝負強い野球で「2度目のチャンス」を虎視眈々と狙っている、実力派のチームです。
「ロッキtober」の奇跡を再び!2007年の快進撃
コロラド・ロッキーズの歴史で欠かせないのが、2007年に見せた「奇跡」のような快進撃です。
シーズン終盤からプレーオフにかけて22試合で21勝という驚異的な勝率を記録し、一気にワールドシリーズまで駆け上がりました。
この現象は「ロッキtober(ロッキトバー)」と呼ばれ、全米で社会現象を巻き起こすほどの熱狂を生んだのです。
しかし、待ち構えていたのは百戦錬磨のボストン・レッドソックスでした。
あまりに勢いだけで勝ち上がった反動か、ロッキーズはシリーズで4連敗を喫し、一度も勝てずに敗退してしまいました。
標高が高く、空気が薄いためにボールが飛びやすい本拠地「クアーズ・フィールド」という特殊な環境を活かしつつ、どうやって頂点に立つかがロッキーズの永遠の課題となっています。
厳しい地区で上位を狙う地方球団の苦悩
ブルワーズはナ・リーグ中地区、ロッキーズはナ・リーグ西地区に所属していますが、どちらも資金力の豊かな大都市球団との戦いに苦労しています。
特にロッキーズの西地区には、ドジャースやジャイアンツ、パドレスといった強豪がひしめいており、地区優勝すること自体がワールドシリーズ進出並みに難しいと言われています。
地方球団にとって、限られたチャンスを確実に掴むことがいかに困難かを物語っています。
それでも、ブルワーズは育成したエースをトレードして若手を獲得するサイクルを確立し、ロッキーズは自前の強打者を育てることで対抗しています。
一度きりのチャンスに終わらせず、もう一度あの舞台へ。
「優勝してない」というレッテルを剥がすために、地道な努力を続ける彼らの姿には、野球というスポーツの泥臭い魅力が詰まっています。
| 球団名 | 唯一の進出年 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ブルワーズ | 1982年 | カージナルス | 3勝4敗 |
| ロッキーズ | 2007年 | レッドソックス | 0勝4敗 |
5. 優勝経験のないチームを応援する野球観戦の醍醐味と楽しみ方

ここまで「ワールドシリーズ優勝してない」チームたちの苦難の歴史を辿ってきましたが、実はこうしたチームを応援することには、常勝軍団を応援するのとは別の楽しみがあります。
長い間勝てなかったからこそ、一つの勝利や一つのタイトル獲得が、ファンの人生に刻まれるような大きな価値を持つからです。
そんな「未制覇チーム」観戦の魅力について考えてみましょう。
悲願の瞬間に立ち会えるかもしれない期待感
メジャーリーグを観戦する上で最大の贅沢は、その球団にとって「初めての瞬間」を目撃することです。
創設から何十年も待ち続けた優勝が決まったとき、街全体が泣き、見知らぬファン同士が抱き合う光景は、言葉にできないほど感動的です。
2016年のシカゴ・カブス(108年ぶり)や2023年のレンジャーズ(初優勝)の際、ファンが見せた涙は野球の枠を超えたドラマでした。
まだ優勝がない5チームのファンは、毎年「今年こそは」という希望を持ってシーズンをスタートさせます。
もし、自分が応援し始めたチームが今年初めてのワールドシリーズ制覇を成し遂げたら、それは一生の思い出になります。
完成された強豪チームを追うのも良いですが、未完成のチームと共に歩む過程には、独特の愛着と情熱が宿るのです。
歴史を知ることで深まる観戦の奥行き
「なぜこのチームは優勝できないのか」という背景を知ると、ただの1試合が非常に重みのあるものに変わります。
例えば、マリナーズの試合を見ていて、ポストシーズン進出がかかる場面になったとき、過去の「2001年の悲劇」を知っていれば、その緊張感は何倍にも膨れ上がります。
歴史は単なる数字の羅列ではなく、ファンや選手の感情が積み重なった物語だからです。
選手たちのインタビューでも、未制覇チームに所属するスターは「この街に初めての優勝をもたらしたい」と語ることが多くあります。
その決意を知った上で彼らのプレーを見ると、一つの三振や一つのホームランに込められた執念を感じ取ることができるでしょう。
情報を補完することで、観戦の奥行きはどこまでも深まっていきます。
球場ごとの特色やファンの一体感を楽しむ
優勝経験がないからといって、スタジアムが寂しいわけではありません。
むしろ、「自分たちが支えなければ」というファンの団結力は、伝統球団以上に強いことがあります。
ミルウォーキーの家族的な雰囲気や、シアトルの海沿いにある美しい球場、サンディエゴの開放的なスタジアムなど、それぞれの拠点には素晴らしい個性があります。
野球観戦の楽しみは、試合の結果だけではありません。
地元のビールを飲みながら、熱心なファンと一緒に声を張り上げ、いつか来るであろう最高の瞬間を夢見る。
そんなゆったりとした、しかし熱い時間がMLB観戦の真髄です。
これからメジャーリーグを見始める方は、あえて「未制覇チーム」の中から気になる球団を見つけてみるのも面白いかもしれません。
MLBの球場にはそれぞれ「持ち歌」や独特のイベントがあります。例えばブルワーズの試合では、ソーセージの着ぐるみが走るレースが名物。こうした文化を楽しみながら応援するのも醍醐味です。
ワールドシリーズ優勝してない球団の挑戦を見守ろう【まとめ】
メジャーリーグという過酷な世界で、まだワールドシリーズ優勝してない5つの球団。
彼らの挑戦は、単なる勝敗を超えた壮大な物語として続いています。
強豪がひしめく中で知恵を絞り、何度も壁に跳ね返されながらも、再び立ち上がる姿こそが野球の本質的な美しさだと言えるでしょう。
2026年シーズンも、ドジャースやヤンキースといった常勝軍団が注目を集める中で、マリナーズ、パドレス、ブルワーズ、レイズ、ロッキーズの5チームはそれぞれの戦いを続けています。
かつてレンジャーズやナショナルズがそうであったように、長年の沈黙を破って突然「その時」が訪れるかもしれません。
その瞬間に立ち会うために、彼らの歴史と現状を知ることは、観戦をより深いものにしてくれます。
もしあなたが新しく応援するチームを探しているなら、この「未制覇」のリストに名を連ねる球団に注目してみてはいかがでしょうか。
「初めての優勝」という最高のギフトをファンに届けるために戦う彼らの姿は、きっとあなたの心を熱くさせてくれるはずです。
悲願達成を目指す5球団の、これからの快進撃を皆で見守っていきましょう。


