奪三振率とは?計算方法や評価の目安、プロ野球をより深く楽しむための指標を解説

奪三振率とは?計算方法や評価の目安、プロ野球をより深く楽しむための指標を解説
奪三振率とは?計算方法や評価の目安、プロ野球をより深く楽しむための指標を解説
歴代記録とセイバーメトリクス

プロ野球中継やスポーツニュースで、投手の実力を表す指標として「奪三振率」という言葉をよく耳にしませんか。三振を多く取れる投手はファンを魅了しますが、実は奪三振の数だけでは見えてこない、投手の真の能力を評価するために欠かせないのがこの奪三振率です。

野球観戦をしていて「このピッチャーは三振を奪う能力がどれくらい高いんだろう?」と疑問に思ったとき、奪三振率を知っていると、その投手のすごさが具体的な数値で理解できるようになります。今回は、奪三振率の意味や計算方法、さらには一流投手の基準となる目安まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事を読めば、スコアボードの数字や選手のデータを見るのがもっと楽しくなるはずです。奪三振率という指標を通して、投手の個性をより深く味わっていきましょう。それでは、奪三振率の基本から丁寧に紐解いていきます。

  1. 奪三振率とは?計算方法から基本的な意味まで詳しく解説
    1. 奪三振率は「9イニングで何個三振を取るか」の指標
    2. 計算式は「奪三振数 × 9 ÷ 投球回数」
    3. なぜ「奪三振数」単体ではなく「率」で見るのか
  2. 奪三振率の平均や評価の目安をチェック
    1. プロ野球における平均的な数値
    2. 奪三振率9.00(ドクターK)が超一流のボーダーライン
    3. リリーフ投手は先発投手よりも数値が高くなりやすい
  3. 奪三振率が高い投手のメリットと特徴
    1. インプレーにさせない「究極の守備」
    2. ピンチの場面で最も頼りになる能力
    3. 球速や変化球のキレなど圧倒的な投球スタイル
  4. 似ている指標「K/BB」や「防御率」との関係
    1. 制球力も加味した重要指標「K/BB」との違い
    2. 奪三振率が高い=必ずしも防御率が良いとは限らない
    3. 勝利数だけでは見えない投手の真の実力
  5. プロ野球の歴史に名を刻む奪三振率のすごい記録
    1. 日本プロ野球(NPB)のシーズン記録保持者
    2. メジャーリーグ(MLB)で活躍する日本人投手の記録
    3. 現代野球で奪三振率が重視されるようになった背景
  6. 奪三振率を知れば野球観戦がもっと楽しくなる理由
    1. 投手のタイプを数値で分類して楽しむ
    2. 次の投球が三振になる確率を予想する
    3. セイバーメトリクスの視点を取り入れる
  7. 奪三振率とは?計算方法や活用方法のポイントまとめ

奪三振率とは?計算方法から基本的な意味まで詳しく解説

奪三振率(だっさんしんりつ)は、英語では「K/9(Strikeouts per nine innings)」と表記されます。これは、その投手が1試合(9イニング)を投げ切ったと仮定したときに、平均して何個の三振を奪うことができるかを表す指標です。投手の「三振を奪う能力」を純粋に比較するために用いられます。

奪三振率は「9イニングで何個三振を取るか」の指標

野球において、三振は最も安全にアウトを取る方法と言えます。なぜなら、打球がフェアゾーンに飛ばないため、野手のミス(エラー)や不運な安打が生まれるリスクがゼロだからです。そのため、奪三振能力が高い投手は、ピンチになればなるほど監督やファンから信頼されます。

しかし、単純な「奪三振の総数」だけでは、投手の能力を公平に測ることはできません。例えば、100イニング投げて100個の三振を取った投手と、50イニングで80個の三振を取った投手では、後者の方が圧倒的に三振を取るペースが速いですよね。この「ペース」を可視化したものが奪三振率です。

奪三振率を見ることで、その投手がどれだけ支配的なピッチングをしているかが分かります。三振を量産する投手は「ドクターK」と呼ばれ、観客を熱狂させる力を持っています。この指標は、投手のタイプ(技巧派か本格派か)を見極めるための非常に便利なツールになります。

計算式は「奪三振数 × 9 ÷ 投球回数」

奪三振率の計算は意外とシンプルです。基本的な式は「奪三振数 × 9 ÷ 投球回数」となります。ここで「9」を掛ける理由は、プロ野球の標準的な1試合の長さである9イニングに換算するためです。この計算を行うことで、イニング数の異なる投手を同じ条件で比較できるようになります。

例えば、ある投手が通算で150イニングを投げ、合計で140個の三振を奪ったとしましょう。この場合の計算式は「140 × 9 ÷ 150」となります。計算の結果、奪三振率は「8.40」と導き出されます。これは、その投手が1試合投げれば平均して8.4個の三振を取る計算になるという意味です。

投球回数に端数がある場合(例えば30回と3分の1など)は、分数を小数に直して計算します。3分の1は「0.33」、3分の2は「0.67」として扱われるのが一般的です。計算機さえあれば誰でも簡単に出せる数字なので、お気に入りの選手の成績を自分で計算してみるのも面白いかもしれません。

【奪三振率の計算例】

・投手A:180イニングで160奪三振
式:160 × 9 ÷ 180 = 8.00

・投手B:60イニングで70奪三振
式:70 × 9 ÷ 60 = 10.50

なぜ「奪三振数」単体ではなく「率」で見るのか

奪三振の総数だけで投手を評価すると、どうしても「長く投げている投手」が有利になってしまいます。エース級の投手は投球回数が多いため、自然と奪三振数も増えます。一方で、短いイニングを完璧に抑えるリリーフ投手などは、三振を取る能力が非常に高くても、総数では先発投手に及びません。

そこで、奪三振率という「率」の指標を使うことで、出場機会の量に関わらず、純粋な「三振を奪う効率」を比較できるようになります。これにより、イニングをまたいで投げる先発投手と、1イニングを全力で投げるクローザーの能力差を、共通の尺度で分析することが可能になるのです。

また、奪三振率は投手のコンディションの変化を察知するのにも役立ちます。全盛期に比べて奪三振率が下がってきた投手は、球威が落ちていたり、打者に球筋を見極められていたりする可能性があります。数字の推移を追うことで、その投手の進化や衰えを客観的に捉えることができるのです。

奪三振率の平均や評価の目安をチェック

奪三振率の計算方法が分かったところで、次に気になるのが「どのくらいの数字ならすごいの?」という点ですよね。野球界全体での平均値や、一流と呼ばれる投手の基準を知ることで、選手の成績表を見たときの印象がガラリと変わります。ここでは一般的な目安を紹介します。

プロ野球における平均的な数値

日本のプロ野球(NPB)において、先発投手の平均的な奪三振率は、おおよそ「7.00前後」と言われています。つまり、1試合投げると平均して7個程度の三振を取るのが標準的なラインです。これくらいの数字を残していれば、安定感のある投手として評価されることが多いでしょう。

ただし、近年の野球界ではフライボール革命などの影響もあり、バッターが三振を恐れずに強く振る傾向が強まっています。その結果、投手側の奪三振率も全体的に上昇傾向にあります。数年前までは高いと思われていた数字が、現在では平均的に感じられることもあるため、時代ごとの背景を知ることも大切です。

また、リーグによる違いもあります。セ・リーグは投手が打席に入るため、三振が奪いやすい傾向がある一方、パ・リーグは指名打者(DH)制のため、打線に隙がなく奪三振率が少し下がる場合もあります。こうした細かな条件を含めて数字を見るようになると、観戦の眼がより肥えていきますね。

奪三振率9.00(ドクターK)が超一流のボーダーライン

プロ野球の世界で「超一流の奪三振能力」を持っていると言われる目安が、奪三振率「9.00」という数字です。これは、各イニングで必ず1つは三振を奪うペースであることを意味します。奪三振率が9点台に乗る投手は、リーグを代表するエース、あるいは圧倒的な守護神として君臨します。

年間を通して奪三振率が9.00を超え続けるのは非常に困難です。打者のレベルが高いプロの世界では、カットされたり、コンタクトされたりすることが多いためです。もし規定投球回数(リーグが定める、公式記録として認められるための最低限の投球回数)に達しながら9.00を超えていれば、その年の最多奪三振争いの筆頭候補となります。

さらに、メジャーリーグ(MLB)で活躍するようなトップクラスの投手の中には、10.00や11.00という驚異的な数字を叩き出す選手もいます。日本でもダルビッシュ有投手や佐々木朗希投手のように、圧倒的なスピードと変化球を持つ投手は、この高い壁を軽々と超えていくことがあり、ファンの注目を集めます。

奪三振率が9.00を超えると、1試合平均で9個以上の三振を取る計算になります。これは「毎イニング1つ以上三振を奪っている」ということであり、打者にとっては手も足も出ない状況が続いていることを示します。

リリーフ投手は先発投手よりも数値が高くなりやすい

奪三振率を比較する際に注意したいのが、投手の役割(先発・中継ぎ・抑え)です。一般的に、リリーフ投手の奪三振率は先発投手よりも高くなる傾向があります。その理由は、リリーフ投手が「短いイニングを全力投球できるから」です。先発投手は長い回を投げるためにペース配分を考えますが、リリーフは1イニングに全精力を注げます。

そのため、一流のクローザー(抑え投手)であれば、奪三振率は10.00を超えることが珍しくありません。中には奪三振率13.00や14.00といった、驚異的な数値を記録するセットアッパーも存在します。打者からすれば、代わって出てきた投手の奪三振率がこれほど高ければ、かなりの絶望感を感じるはずです。

したがって、先発投手の8.00とリリーフ投手の8.00を単純に比較して、「同じくらいの能力だ」と判断するのは少し危険です。役割による特徴を考慮した上で、それぞれのカテゴリー内でのランキングや平均値と比較することが、より正確な実力把握に繋がります。

奪三振率が高い投手のメリットと特徴

奪三振率が高い投手は、チームにとって非常に大きな武器になります。単に見た目が華やかでカッコいいだけでなく、戦略的にも極めて重要な役割を果たします。では、三振を奪える能力が高いと、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主な理由を3つ紐解いてみましょう。

インプレーにさせない「究極の守備」

三振の最大のメリットは、「打球をフェアグラウンドに飛ばさせない」ことにあります。打球が飛ぶと、そこには必ず不確定要素が生まれます。内野ゴロがイレギュラーバウンドして安打になったり、外野への飛球が強風で押し流されたり、あるいは味方の野手がエラーをしたりする可能性があるのです。

奪三振率が高い投手は、こうした不運な要素を未然に防ぐことができます。自らの腕一本でアウトを完結させられるため、極端な話、野手の守備力が多少低くても失点を防ぐことが可能です。これはチームのディフェンスにおいて、最も計算が立つ、リスクの低いアウトの取り方と言えます。

セイバーメトリクス(統計学を用いた野球分析)の世界でも、奪三振は投手の純粋な能力として高く評価されています。被安打や失点は運や守備力に左右されますが、三振は「投手と打者の勝負」の結果として現れやすいためです。そのため、奪三振率が高い投手は、将来的な活躍の再現性が高いと見なされます。

ピンチの場面で最も頼りになる能力

ノーアウトまたはワンアウトで、ランナーが三塁にいる場面を想像してみてください。このとき、外野フライや内野ゴロでも一点が入ってしまう可能性があります。投手にとって非常に苦しい状況ですが、ここで最も欲しいのが「三振」です。三振であればランナーは一歩も動けず、アウトカウントだけを増やすことができます。

奪三振率が高い投手は、こうしたギアを上げなければならない場面で、確実に空振りを取る術を持っています。満塁のピンチを三者連続三振で切り抜けるようなシーンは、野球観戦における醍醐味の一つですよね。こうした「絶対的な封じ込め」ができる投手は、監督にとっても計算が立ちやすい貴重な存在です。

また、三振を奪うことは相手チームへの心理的なプレッシャーにもなります。強力な打線であっても、バットに当たらないことには得点のチャンスが生まれません。「この投手からは打てる気がしない」と思わせる力は、数字以上の影響を試合全体に及ぼします。

球速や変化球のキレなど圧倒的な投球スタイル

奪三振率が高い投手の多くは、共通した技術的特徴を持っています。まず第一に、打者が手を出しても当たらないほどの「圧倒的な球速」や、直前まで直球と見分けがつかない「鋭い変化球」を持っています。特にフォークボールやスライダーなど、縦に大きく割れるボールは空振りを取るための強力な武器になります。

また、近年のデータ分析では「球の回転数」や「ホップ成分(浮き上がるような軌道)」も注目されています。奪三振率が高い投手は、回転数が多くバットの上を通過するような質の高いストレートを投げることが多いです。これにより、バッターはボールの下を振らされて空振りを喫することになります。

単に速いだけでなく、打者のタイミングを外す投球術や、狙ったところに投げ込む制球力(コントロール)も重要です。追い込んでからの決め球の精度が高い投手ほど、奪三振率は向上します。こうした卓越したスキルが組み合わさることで、高い奪三振率という結果が生まれるのです。

奪三振率が高い投手は、150キロを超える速球に加え、ブレーキの効いた変化球を持っていることがほとんどです。打者がストレートを待っているところに変化球を、変化球を待っているところに速球を投げ込むといった「駆け引き」にも長けています。

似ている指標「K/BB」や「防御率」との関係

野球のデータを詳しく見ていると、奪三振率以外にも多くのアルファベットが並んでいることに気づくはずです。奪三振率とセットで語られることが多い他の指標を知ることで、その投手の能力を多角的に分析できるようになります。ここでは、特に重要な関連指標を紹介します。

制球力も加味した重要指標「K/BB」との違い

奪三振率(K/9)と非常に関係が深く、セットでよく使われるのが「K/BB(ケー・ビー・ビー)」です。これは「奪三振数(K)÷ 与四球数(BB)」で計算され、一つの四球を出す間にいくつ三振を取ったかを示す指標です。奪三振率が「攻撃的な能力」を示すのに対し、K/BBは「投手の総合的な安定感」を示します。

例えば、奪三振率が10.00と非常に高くても、同時に四球も連発する投手は、自滅するリスクがあります。一方、奪三振率が8.00であっても四球が非常に少ない投手は、K/BBの値が高くなり、安定したピッチングが期待できます。一般的にK/BBが3.50を超えると超一流の制球力と言われています。

奪三振率は高く、かつK/BBも優秀な投手は、まさに無敵のエースと言える存在です。代表的な例で言えば、かつての上原浩治投手は奪三振率もさることながら、K/BBが驚異的な数値を記録していました。奪三振率を見る際は、ぜひ隣にある「与四球」の数もチェックしてみてください。

奪三振率が高い=必ずしも防御率が良いとは限らない

意外に思われるかもしれませんが、奪三振率が極めて高くても、防御率(1試合あたりの平均自責点)がそれほど良くない投手も存在します。これは、三振は取れるものの、打たれたときのダメージが大きいタイプに多く見られます。いわゆる「一発(本塁打)を浴びやすい」投手です。

高い奪三振率を誇る投手は、三振を狙うあまり球数が多くなったり、ストライクゾーンの中で勝負しすぎて被本塁打が増えたりすることがあります。三振は1つのアウトですが、ホームランは一度に複数の失点に繋がるため、このバランスが悪いと防御率は悪化してしまいます。

そのため、投手を評価する際は「奪三振率が高いから絶対に良い投手だ」と決めつけるのではなく、防御率や被安打率など他の数字と見比べることが大切です。それでもなお、奪三振率が高い投手には「一気にピンチを脱出できる」という独自の魅力があるため、評価が下がることはありません。

勝利数だけでは見えない投手の真の実力

かつての野球界では「勝利数」が投手を評価する最大の基準でした。しかし、勝利数は味方の打線の援護や運に左右される面が大きいです。例えば、どんなに好投して三振を奪いまくっても、打線が1点も取ってくれなければ勝ち星はつきません。ここで登場するのが、奪三振率のような「運に左右されにくい指標」です。

奪三振率が高い投手は、たとえ勝ち星に恵まれていなくても「投球内容自体は素晴らしい」と評価されます。現代のプロ野球の査定やトレード、ドラフト会議などでは、こうした中身の濃さを測る指標が非常に重視されます。一見すると地味な成績でも、奪三振率が高い選手は「将来の化ける可能性がある」と期待されるのです。

ファンとしても、勝利数だけで判断するのではなく、奪三振率をチェックすることで「この投手は援護がないだけで、実はリーグ屈指の力を持っているな」といった通な楽しみ方ができるようになります。数字の裏側にある、投手の真のポテンシャルを見抜く楽しさをぜひ味わってください。

プロ野球の歴史に名を刻む奪三振率のすごい記録

プロ野球の長い歴史の中には、信じられないような奪三振率を叩き出した伝説の投手たちが存在します。過去の偉大な記録や、現代の怪物たちが打ち立てている数字を知ることで、奪三振率という指標がいかにドラマチックなものであるかが分かるはずです。注目の記録を振り返ってみましょう。

日本プロ野球(NPB)のシーズン記録保持者

日本プロ野球において、規定投球回数に到達した投手の歴代最高奪三振率は、2019年にソフトバンクの千賀滉大投手が記録した「11.33」です。それまで石井一久投手が持っていた記録を塗り替えたこの数字は、驚異的の一言に尽きます。お化けフォークと呼ばれた落差の大きい変化球が、打者のバットを空に切り続けさせた結果です。

また、近年で最も衝撃を与えたのは、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手です。2022年に完全試合を達成した際、1試合19奪三振という日本タイ記録を樹立しました。その年の彼の奪三振率は、規定投球回数にはわずかに届かなかったものの、圧倒的な数値を叩き出しており、ファンの記憶に強く刻まれています。

過去には、金田正一氏や江夏豊氏といったレジェンドたちも驚異的なペースで三振を奪っていました。当時は現代よりも試合数が少なく、完投が当たり前だった時代ですが、それでも彼らの奪三振率は抜きん出ていました。時代の変化とともに投手の起用法も変わっていますが、「三振でねじ伏せる」というエースのロマンは共通しています。

メジャーリーグ(MLB)で活躍する日本人投手の記録

日本人の投手は、メジャーリーグでもその奪三振能力を高く評価されています。特に野茂英雄氏は、メジャー1年目から凄まじい奪三振率を記録し、ドクターK旋風を巻き起こしました。彼のトルネード投法から繰り出されるフォークボールは、屈強なメジャーリーガーたちを翻弄し、奪三振王のタイトルも獲得しています。

また、ダルビッシュ有投手もMLBで非常に高い奪三振率を維持し続けている投手の一人です。彼は2013年に奪三振率11.89を記録し、これは先発投手として歴史に残るレベルの数字でした。さらに、大谷翔平選手も投手として登板する際、11.00を超える奪三振率を記録することがあり、二刀流の凄さを象徴する指標となっています。

メジャーリーグの歴代記録に目を向けると、ノーラン・ライアンやランディ・ジョンソンといった怪物たちが並びます。ランディ・ジョンソンはシーズン奪三振率13.41という、ゲームの世界のような数字を記録したこともあります。こうした世界のトップレベルの数字と比較すると、奪三振率の奥深さがより一層際立ちますね。

【奪三振率の主な歴史的記録(NPB/MLB)】

・千賀滉大(2019年):11.33 ※NPB規定投球回以上最高
・ダルビッシュ有(2013年):11.89 ※MLB日本人最高
・ランディ・ジョンソン(2001年):13.41 ※MLBシーズン記録

現代野球で奪三振率が重視されるようになった背景

なぜ昔以上に、現代の野球では奪三振率が重要視されているのでしょうか。その背景には「データ野球の進化」があります。前述の通り、三振は守備の関与を受けないアウトであるため、投手の能力を最も正確に評価できる材料として、メジャーリーグを中心に研究が進みました。

また、球場のサイズや用具の変化により、かつてよりもホームランが出やすくなっていることも影響しています。打たせて取るピッチングは効率的ですが、同時に失点のリスクも孕んでいます。それならば「そもそも打たせない(三振を取る)」ことが、最も効率的な失点抑止策であるという考え方が主流になったのです。

さらに、160キロを超える速球を投げる投手が珍しくなくなったことも要因の一つです。トレーニング理論や科学的な分析により、投手の出力が向上し、結果として三振を奪う能力そのものが球界全体で底上げされました。今や奪三振率は、投手の価値を決定づける「最重要ステータス」の一つとなっているのです。

奪三振率を知れば野球観戦がもっと楽しくなる理由

ここまで奪三振率の仕組みや凄さについて解説してきましたが、この知識を持って実際の試合を見ると、これまで以上にエキサイティングな発見があります。テレビ中継や球場の電光掲示板に表示される数字が、選手の物語を語ってくれるようになるからです。最後に、奪三振率を観戦に活かすコツをお伝えします。

投手のタイプを数値で分類して楽しむ

奪三振率を知っていると、マウンドに立っている投手が「どうやって打ち取ろうとしているのか」という意図が透けて見えます。例えば、奪三振率が10.00を超える投手なら、「今日は何個三振を取るだろう?」というワクワク感を持って見ることができます。空振りを取るたびに、その投手の凄みを再確認できるでしょう。

一方で、奪三振率が5.00台や6.00台の投手の場合、それは決して能力が低いわけではありません。彼らは「打たせて取る(コンタクトさせてアウトにする)」術に長けた技巧派である可能性が高いです。野手の正面に飛ぶゴロを打たせたり、少ない球数でアウトを取ったりする、玄人好みのピッチングを数字が示してくれているのです。

このように、投手を「三振で圧倒するタイプ」と「術策で打ち取るタイプ」に数値で分類できるようになると、試合の展開予想がより楽しくなります。それぞれの投手が持つ個性を、奪三振率という窓を通して観察してみてください。

次の投球が三振になる確率を予想する

試合の重要な局面、例えばツーアウト満塁といった場面で、マウンドの投手の奪三振率を思い浮かべてみましょう。もしその投手の奪三振率が非常に高いなら、ファンとしては「ここで三振を取ってくれるはずだ!」という期待感がより高まりますよね。実況が「ここは三振が欲しい場面です」と言ったとき、その根拠が数値として裏付けられます。

また、対戦するバッターの「三振しやすさ(被三振率)」と組み合わせると、さらに高度な予想が可能です。三振を奪う力が強い投手と、なかなか三振しないバッターの対決は、まさに野球の真髄。奪三振率を知ることで、一球ごとの緊張感が何倍にも膨らみ、手に汗握るシーンをより深く楽しむことができます。

三振を奪った瞬間の爽快感は、野球観戦において格別なものです。その確率が高い投手であることを事前に知っていれば、カメラが投手の表情をアップにする瞬間の期待もひとしおです。数字は、ドラマをより際立たせる演出家のような役割を果たしてくれるのです。

セイバーメトリクスの視点を取り入れる

最近では、プロ野球中継でも「FIP(守備の影響を除いた防御率)」などの専門的な指標が紹介されることが増えました。奪三振率は、こうした高度な指標を理解するための入り口になります。野球を「統計的なスポーツ」として捉える視点が加わると、監督の采配の意図なども理解しやすくなります。

例えば、「なぜ防御率が良い投手を代えて、奪三振率の高い投手を投入したのか?」という疑問に対し、「この場面はランナーを三塁に置いており、何としても打球を飛ばさせたくないからだ」という納得感が生まれます。ただ漫然と見るのではなく、論理的に野球を捉える楽しさが広がります。

もちろん、数字がすべてではありませんが、数字を知ることで感情的な応援に「確信」が加わります。奪三振率という魔法の数字を味方につけて、次回のプロ野球観戦を今よりももっとディープで熱いものにしていきましょう。

奪三振率(目安) 投手の評価イメージ
10.00以上 圧倒的な支配力を持つドクターK。三振でピンチを救う。
9.00~9.99 リーグ屈指の奪三振能力。最多奪三振を狙えるエース級。
7.50~8.99 平均以上の高い能力。本格派投手として安定感がある。
6.00~7.49 平均的な数値。打たせて取る技術とのバランスが良い。
6.00未満 打たせて取る技巧派。制球力や変化球の動かし方で勝負。

奪三振率とは?計算方法や活用方法のポイントまとめ

まとめ
まとめ

奪三振率について詳しく解説してきましたが、最後に重要なポイントを振り返ってみましょう。奪三振率は、単なる三振の数ではなく、「9イニングあたりに換算してどれだけ三振を奪えるか」を可視化した、投手の実力を見極めるための非常に優れた指標です。

計算式は「奪三振数 × 9 ÷ 投球回数」とシンプルですが、この数字一つでその投手の支配力や個性がはっきりと分かります。先発投手であれば「9.00以上」が超一流、リリーフ投手であればさらに高い数値が期待されるなど、役割に応じた基準があることも覚えておくと便利です。

また、奪三振率が高い投手は、インプレー(打球が飛ぶこと)を避けることで失点リスクを最小限に抑え、ここぞというピンチで最も頼りになる存在です。K/BBなどの他の指標と組み合わせて見ることで、その投手の制球力や安定感までを含めた総合的な実力を探ることもできます。

これからのプロ野球観戦では、ぜひお気に入りの選手の奪三振率に注目してみてください。スコアボードに並ぶ数字の裏にある、投手と打者の熱い駆け引きや、投手の並外れた努力が見えてくるはずです。奪三振率をマスターして、野球という素晴らしいスポーツをさらに深く、心ゆくまで楽しんでいきましょう。

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